議員日誌188   口頭契約     H25 5.24

 仕事柄、契約事の相談が寄せられます。Aさんは、理容業を営んでいましたが昨年廃業し、店舗を閉めたままになっていました。そこへ、事情を聞きつけたある業者が空店舗の賃借を申込んできました。Aさんは、よく考えずに口頭で了承し、後日契約書を作成することになりました。しかし、よく考えると店舗と住宅は一体的であり、店舗を他人に貸しながらの生活に不安が募り、賃貸は取り止めようと思いました。ところがその業者がひき下がりません。口頭でも約束は約束、契約成立だと主張しています。

 民法によればその通りです。契約は意思表示で成立します。それを言われると素人はたじろいでしまいます。しかし、この場合、Aさんが取り止めることは無理からぬことです。私は依頼を受けて取り止めを申し入れました。まっとうな事業者は、建物賃貸借という重要案件で口頭契約を盾に取り契約履行を迫ることなどしないでしょう。相手業者の非常識さに警戒心を抱き、とにかく断りました。最終的には、錯誤による無効、消費者契約法を持ち出した始末です。ここまで主張するまでもなく、事業者からの申込みに口頭契約した場合、後になって常識的判断でいやになったものは断るべきです。

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