中小企業の経営者の皆さんはご存知だと思いますが、中小企業高度化資金は工業団地へ進出するとか商店街を整備するという場合、単独では難しい融資を協同組合を組織して受ける制度資金です。貸しては県。全国的に不良債権が多発し問題になっているようです。
相談を受けた協同組合も参加企業が10社から5社に減り、資金繰りに四苦八苦しています。高度化資金の融資に関しては各企業が連帯債務となっています。当初の借入金返済額は1社当たり倍額に増え、固定資産税も同様です。制度上、各企業は自社敷地の名義を協同組合にしていますので、倒産した企業の敷地建物は組合のままですから、組合宛の固定資産税は当初のままで、これを残った5社が負担しています。 当然残った企業にとってはひどい話ですので協同組合に資金を出し渋ります。組合は資金不足となり、支払いが滞ります。ここで、組合理事長が、どれを優先してどれを後回しにするかの判断に迫られます。相談企業は高度化資金の返済を優先し、市税である固定資産税を後回しにしました。これが仇となり、租税債権管理機構から差押えを受けてしまいました。機構はさらに強硬で、各企業の預金までも差し押さえると警告してきました。
私は、2点疑問がありました。1つは、高度化資金制度は県のプランですので、県がこのような組合を適切に指導する義務があるのではないかということです。放置すれば事態は悪化し、健全な企業もやがて負担に耐えられなくなってしまいます。もう一つは、市当局の税務担当です。資金繰りの悪化した協同組合に対して固定資産税の繰り延べや倒産した企業の事業用地の公売をするなど、残った企業に負担がかからない施策をやれなかったのか。全国にこのような協同組合は相当数に上ります。