私の知人には、認知症のお年寄りを家族で懸命に面倒を見ている方がいます。60代のご夫婦が中心で、幸い二人とも現役を退いていますので何とかなっているようですが、失禁や徘徊もあり心労は大きいようです。最近、テレビで徘徊老人が踏切事故で死亡するという痛ましいニュースが報道されていました。驚いたのは、鉄道会社が事故を起こしたお年寄りの家族を相手取って損害賠償訴訟を提起したこと、更に、1審では家族に賠償金支払いを命じる判決が出たということです。
私にはわけがわかりません。先の知人もこのニュースを聞いて驚いていることでしょう。怒りを覚えるかもしれません。それとも、事故を恐れてお年寄りを家に閉じ込めるかもしれません。こうなると一種の虐待です。高齢化はますます進み認知症老人も増えてきます。認知症老人の賠償問題は今後社会問題になってくるでしょう。
しかし、法律的にはどう整理したらよいのでしょう。家族に認知症老人の監督責任を認めるということは、本人の意思能力がないと判断したのでしょうがその医学的判断は何を以て担保されるのでしょうか、もし医者にかかっていて通常の生活ができると診断されていたらどうなるのでしょうか。認知症患者の家族はどうしたら賠償責任を回避できるのでしょか。他人ごとではありません。