昨今、地方議会に対する批判が多いように思います。一部は感情論もありますが、地方議会が本来の役割を果たしていないから、という正鵠を射た発言も耳にします。市民の中には市議会と市長の関係を国会と総理大臣のミニ版あるいは地方版ととらえ、与党的議員と市長は盟友関係にあるべき、あるいは市長の政策を与党的議員は当然に支持するべきと考えている人がいるようです。そして、市長にしてみれば、議会運営上、それが望ましいことは想像に難くありません。
しかし、市議会の本来の役割は、市長以下執行部に対する監視と評価であることは論を待ちません。自治法の規定は2元代表制であり、ここからくる帰結として議会と市長には適切な緊張関係が求められています。議員と市長が特別に親密な関係にあったり、従属的、あるいは支配的関係にあることは忌避しなければなりません。国政の政党政治、議院内閣制とは違います。
このようなことは、残念ながら一般市民が広く認識していることではないようです。市長と緊密であることが市民に受ける効果があることも事実です。市長による市議候補者への選挙応援がありましたが、与党的議員を増やす効果はありますが、「適切な緊張関係」という面では危うさが潜んでいます。市民の監視が届きにくいだけに当選議員はこの部分に注意をはらう必要があります。「是々非々」が「両輪」や「市長追従」にとって代わられぬように。