毎年訪れる憲法記念日ですが、今年はなにやら通年以上の活発な議論があるようです。マスコミの取り上げも大きいものがあります。公布から69年(制定から70年)という節目、安倍首相の改憲論議、集団的自衛権と安保法制騒動があった直後というタイミングもあるのでしょう。
いくつかの新聞の社説、識者のインタビュー記事があります。その中に「憲法とは国権を制約する、国民に対する義務を明示する」という機能もあるのであるから政権側から憲法改正を論ずることはいかがわしいというものがありました。正論のようですがどうもストンと落ちてきません。70年も経ちますと、現実と条文つまり理想が乖離する部分は当然生じるでしょう。憲法は、当時の日本国の理想像でしょうが、実現できない現実もあります。そして国民が現実を支持しているということも当然に生じています。その時、時の政権が憲法を現実に合わせる動きを取ることは非難されることではないように思います。
但し、憲法を変えるという畏れ多きことには日本人は神学論争的になりがちです。宗教論争には比較的冷静でそれによって騒擾など起こらないのですが、改憲論議となると現実論ではなく原理主義的な主張が目立ちます。何故なのでしょうか。私は日本人の9条と国防に関する思いが影響しているように思います。これに関しては稿を改めます。