権限と権力は似て非なるものです。私も、行政書士事務所という小さな組織の代表者ですからそれなりの権限があります。相談を受けた仕事を受注するかどうか、外注業務の依頼先、事務用品納入業者の決定、従業員の昇給、等々。しかし、これらの権限は責任の裏返しのもので、わずか5人の所帯で間違っても権力を握った気分などあり得ません。組織を維持すること、責任を果たすことに最大の関心が向かいます。
しかしながら公の大組織となると話が違います。いくつかのリーダー的重要ポストが存在します。そのポストの権限は、私の事務所の代表者のそれとは比べ物にならないくらい強大です。部下も大勢で、しかも部下たちは指示に忠実です。ここに、権限と権力の誤解を生む素地が存在します。
組織が公であれば、そのポストも公、与えられた権限も公のものです。それを行使するときの具体的言動は公に相応しい品位が要求されます。しかしながら先ほどの誤解が生じますと、「相応しい品位」は失われます。はたから見ると権力の行使と映ります。