9月議会において私小島信一が一般質問をした内容をお伝えします。
市は分庁方式を計画しているが
合併後の市役所の形態について考察したいと思います。一般的に市町村が合併するに当たり、合併当初は物理的に一つの庁舎に全職員は入りきれず、旧庁舎を利用します。ここで、本庁舎とその周辺に本庁機能を集約し、旧庁舎は支所として機能させる形式――すなわち本庁方式と、本庁舎の他に、本庁機能の一部を旧庁舎に分割する形式――いわゆる分庁方式があります。
本庁方式は合併前の自治体の規模に差がある場合にとられる例が多く、仮庁舎の建設や、施設の改修に費用が嵩むが、新市の一体性や、行政効率の面では合併効果が早く期待できるメリットがあります。分庁方式は同程度規模の自治体合併に取られる例が多く、改修費は少なくてすむ半面、市民へのサービスや行政効率が低下し、また新市の一体性の醸成が遅れます。どの方式を選択するかは合併協議会が自治体の特性や政治情勢で判断します。
しかし何れも過渡期のもので、職員定数の適正化や新庁舎建設あるいは増設を経て本庁機能は統合され、新市の統一性が醸成されていきます。本庁一本化が達成されて、合併で期待された行政改革は一応の終結を迎えます。
わが筑西市においてこれまでは、旧下館市役所を本庁として使用し、旧3町の庁舎は支所として使用する形態が取られてきました。本庁舎に入りきれない部署は本庁近くの施設を利用してきましたが、分類的には本庁方式が取られてきました。しかし、合併間もないこともあり、旧3町の住民の利便性を配慮し、各支所の機能を極力縮小しないよう人員配置が取られてきました。
今後は、合併の最大の目的である効率性を求め、支所機能を縮小し人員を適正化する方向に行くことがその帰結です。これらの過程を経て、やがて筑西市が、本当の一体性をもった自治体と成長していくものと考えます。規模にもよりますがこの過程は5年から10年をかけて達成されることが望ましいと思われます。
因みに、つくば市、桜川市、古河市、笠間市は合併当初分庁方式が取られていました。そして、つくば市は茎崎町を合併して9年後すなわち平成22年に新庁舎を建築し、本庁方式に変更されました。桜川市は筑西市と同年に合併し9年後平成26年に新庁舎建設と同時に本庁方式に変更する予定です。つくば市は合併特例債を利用し、桜川市も合併特例債を利用する計画です。笠間市、古河市の両市は新庁舎に関しては未定であるということです。新市の一体性の醸成は遅れ気味です。
筑西市はこれらの市に比べると、理想的な経過を取っています。当初から本庁方式に近い形態が取られました。旧下館中心に集合したと非難されることもあるでしょうが、合併の理念を優先した当時の合併協議会の先見性を称えるべきだと思います。合併効果を早くに手にすることができます。ただ、その後の周辺庁舎の変更、改修が続き、費用が嵩んだのは事実です。
筑西市は合併7年目を迎えています。現在は、先ほど申し上げた通り旧下館庁舎と近接地にある分庁舎を利用した準本庁方式をとっていますが、一定の安定期を迎えています。これを市長は敢えて旧3町庁舎を利用する分庁方式に切り替えようとしていますが、一般市民には時計の針を戻すようにも映ります。市長は、自ら、その政策の合理性、正当性、そして必要性を説明する必要があると思います。
筑西市の一体性の視点、行政効率の視点、市民の利便性の視点から説明してください。
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市長の答弁の要旨
・目指すところは同じで、行政の効率、一体性である。
・スピカは20年に市議会行政改革特別委員会で売却すべしと答申され、これ を受けて公約として市長となった。従ってスピカを売却し3,4階の分庁舎は他所 へ移動せざるを得ない。これは経過措置である。
・旧3町の庁舎へ分庁すれば、支所周辺の活性化につながる
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スピカビルの売却は、問題とするところが違います。別次元の話です。たとえビルを売っても、合併後6年を経た今日では、旧3町支所への分庁は合理性がありません。これを経過措置というのであれば、今のままが経過措置という理解で十分です。旧3町の活性化につながると言いますが、旧3町の活性化は別の施策を講じるべき問題で、市役所を分庁してやるべきことではないと思います。