先日の相談業務において、相続放棄に関するものがありました。その方は事情があって父親の相続を放棄したそうです。聞けば、その方の親族全員が相続放棄をしていました。そして相続財産として父親が住んでいた住宅があり、これが朽廃して迷惑空き家となっており、市から相続人あてに、この空き家の整備を依頼されたということのようです。
親族全員が相続放棄をすれば、「相続人不存在」ということになり、民法では国に帰属することになっています。ただし国に帰属するまでに法的手続きがいくつかあり、その手続きをする人が相続財産管理人といわれる者であり、これは利害関係者(放棄をした相続人、被相続人の債権者等)からの申し立てにより裁判所が選任することになっています。民法によれば、相談のような迷惑空き家の管理責任は、相続財産管理人が選任されるまで、放棄をした相続人にあることになります。市からの整備の依頼は合法ということです。―――これは法解釈の帰結です。しかしこれが現実に合うのか疑問があります。