幼少期、「世紀をひらく原子の火・・・・」と県民の歌を歌った世代としては、わが茨城県の原子力施設、原子力発電は誇らしいものでした。私は大学時代、原子力発電を学び、その意識はさらに高まっていました。しかし、福島原発の事故が起きたことで私の意識は180度転換してしまいました。核分裂を基本原理とした原子力発電はやはり反対せざるを得ません。
新聞報道によれば、大洗町の「常陽」が再稼働する方向です。「常陽」は次世代の技術―増殖炉を研究するための施設で、あの高速増殖原型炉「もんじゅ」を生み出しています。今後も世界の実験炉としての役割が期待されています。しかし基本的には原子力発電所と同じ原子炉を運転するものです。燃料は「MOX燃料」(プルトニウムとウランの混合物)でれっきとした核分裂物質です。事故の可能性は否定できません。万一事故が起きれば被害は甚大です。そして、「もんじゅ」ではなしえなかった高速増殖炉という原子力発電所を生み出すための施設です。
どれほど美辞麗句を用いても、福島で起こったような事故の可能性は否定できず、さらに使用済み核燃料の完全な廃棄技術、処分場が確立していない現状では、原子力発電所につながる施設の再稼働を素直に喜んではいられません。